ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ
地球最后的夜晩 / UN GRAND VOYAGE VERS LA NUIT / Long Day's Journey Into Night)
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監督:ビー・ガン
タン・ウェイ、ホアン・ジェ、シルヴィア・チャン、リ・ホンチ
オフィシャルサイト
2018 Dangmai Films Co., LTD - Zhejiang Huace Film & TV Co., LTD / ReallyLikeFilms LCC.

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ

この作品、なんと言えばいいのか、、、。まず、ひとつ言えるのは、ストーリーがわかりやすく展開する作品が好きな方にはオススメできません。ストーリーも大事だけど、芸術作品として映像や音楽が美しいだけで映画が観れる、という人にはとってもオススメです。私、軽く2回観ましたが、わからないところだらけです。(説明しすぎないようにしたのはストーリーを語るだけの映画にしたくなかった、と監督は語っていたので、ストーリーがよくわからないのは、私のせいではないようです。)よくわからないkれど、それでもまた観たいって思うくらい、とにかく美しい。

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ウォン・カーウァイを思い起こすなぁと思っていたら、ウォン・カーウァイ作品の照明を担当していたウォン・チーミン(Chi Ming Wong)が、照明監督として参加していて、なるほど、と。さらに、やっぱり監督は、ウォン・カーウァイの『欲望の翼』の大ファンらしく、影響を受けているのは映像を観てわかります。それだけでなく、シャガールの絵やモディアーノというフランスの小説家の作品からもインスピレーションを受けているようで、つまるところ、至るところにビー監督の好きなものが散りばめられているのだと思います。

アメリカの「ハリウッド・リポーター」のレビューで、タルコフスキーの影響も指摘していました。私はタルコフスキー作品は『惑星ソラリス』しか観たことないので多くは語れませんが、緑色の水のシーンとか浮遊している感じがタルコフスキーっぽいといえばそうなのかなーと。中国の若く新しい監督の作品に至宝の美しい映像美が受け継がれていること、タルコフスキー作品が好きな方は嬉しく思えるのではないのでしょうか。

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私は中国映画には詳しくなく、チャン・イーモウやチェン・カイコーしか知らなかったので、中国映画に関するイメージが一気に変わりました。監督の出身地である凱里(かいり)に行ってみたいと思ったくらい魅力的で、どの役もとても描写も演技も素晴らしいです。絵画のようなシーンと、不思議な錆びた記憶と曖昧な夢の狭間で彷徨う感覚。

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1時間近くにも及ぶワンシークエンスショット(カメラを止めずに、編集なしのワンシーンを撮ること)があるというので、冒頭からカメラの視線を気にしながら観ているうちに、ロングショットのことは(なんとなく)忘れて、主人公の記憶を手繰る旅を(なんとなく)追いかけていく。(なんとなく)わかるのは、主人公が故郷の凱里に戻ってきて、誰か女の人を探している、ということだけ。ストーリーはよくわからないのだけれど、移り変わるシーンが美しく意味を見出すことをやめたあたりで、、、、ん? えっ? はっ!

この続きは、ぜひ劇場でご自身で体験して頂きたいです!