九月と七月の姉妹
“ギリシャの奇妙な波”を継ぐ、新鋭アリアン・ラベドの鮮烈な長編デビュー作。15歳の姉妹のいびつな絆を映し出す、終わらない悪夢
2024年、カンヌ国際映画祭でのプレミア上映以降も各国映画祭で賞賛を集める本作は、フランス人俳優として世界的に活躍するアリアン・ラベドがメガホンをとった長編デビュー作。史上最年少のマン・ブッカー賞候補となった作家デイジー・ジョンソンによる「九月と七月の姉妹」(原題:Sisters)に着想を得て制作され、ラベドの公私に渡るパートナーであるヨルゴス・ランティモスを中心として生まれた映画ムーブメント<ギリシャの奇妙な波 (Greek Weird Wave) >を継ぐ作風で脚光を浴びた。
10ヶ月違いで生まれた一心同体の姉妹・セプテンバーとジュライを演じたのは“カンヌの新星”として演技を高く評価されたパスカル・カンとミア・サリア。また、『関心領域』でアカデミー賞音響賞に輝いたジョニー・バーンによるサウンドデザインが物語を不穏な予兆で充たしていく。一体どこからどこまでが自分なのか —— 互いの境目がわからないほど絡み合った姉妹の絆は、やがて醒めることのない悪夢へと姿を変える。
<ストーリー>
生まれたのはわずか10か月違い、一心同体のセプテンバーとジュライ。我の強い姉は妹を支配し、内気な妹はそれを受け入れ、互いのほかに誰も必要としないほど強い絆で結ばれている。しかし、二人が通うオックスフォードの学校でのいじめをきっかけに、姉妹はシングルマザーのシーラと共にアイルランドの海辺近くにある長年放置された一族の家<セトルハウス>へと引っ越すことになる。新しい生活のなかで、セプテンバーとの関係が不可解なかたちで変化していることに気づきはじめるジュライ。「セプテンバーは言う──」ただの戯れだったはずの命令ゲームは緊張を増していき、外界と隔絶された家の中には不穏な気配が満ちていく……。
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