マーティン・エデン
Martin Eden
なし
イタリア・フランス・ドイツ合作
ピエトロ・マルチェッロ
ルカ・マリネッリ、ジェシカ・クレッシー、ビンチェンツォ・ネモラート、マルコ・レオナルディ
オフィシャルサイト


マーティン・エデン

ジャック・ロンドンという作家をご存知でしょうか。

ロンドンが作家としてのキャリアをスタートさせた19世紀後半から20世紀は、新しい印刷技術が開発され安く雑誌を作れるようになった時でした。このことが雑誌ブームを作り、そこに掲載するための短編小説が求められていて、その波に乗ったロンドンは、アメリカのフィクション作家として商業的に成功した最初のひとりです。彼はのちにSFと呼ばれるジャンルを作った作家でもあります。

私が最初にジャック・ロンドンのことを知ったのは、ショーン・ペンが監督した映画『イントゥ・ザ・ワイルド(荒野にて)』でした。恵まれて育ち大学でも優秀だった主人公が、物質的なもの全てを捨て放浪の旅に出かけるのですが、その主人公が愛読していた本がジャック・ロンドンの『野生の叫び声』でした。本作、『マーティン・エデン』がジャック・ロンドンの自伝的小説の舞台をイタリアにして映画化されたものです。



マーティン・エデンを演じるルカ・マリネッリが素敵です。情熱と挫折の滲む美青年(ルカ・マリネッリ)を観るだけでも価値がありますが、しっかりした小説のベースを外すことなく、重みと美しさが共存していて、そこはさすがフィルムの貫禄です。(なので、最初昔の映画だと思ってしまいました。)



幸せとはなんでしょうか。映画の前半と後半のマーティン・エデン、どちらが幸福なのでしょうか。いろいろ考えさせられました。ぜひ映画館で鑑賞して頂きたい美しい大作です。