グンダーマン 優しき裏切り者の歌
Gundermann
G
ドイツ
アンドレアス・ドレーゼン
アレクサンダー・シェアー、アンナ・ウィンターベルガー、アクセル・プラール 、トルステン・メルテン
オフィシャルサイト
2018 Pandora Film Produktion GmbH, Kineo Filmproduktion, Pandora Film GmbH & Co. Filmproduktions - und Vertriebs KG, Rundfunk Berlin Brandenburg


グンダーマン 優しき裏切り者の歌

東ドイツのボブ・ディランと言われた実在の人物ゲアハルト・グンダーマンを描いた作品です。主役を演じたアレクサンダー・シェアーはミュージシャン/役者で、本作ではグンダーマンの楽曲十数曲をカヴァーしている上に、(写真で見ると)実存のグンダーマンにもとっても似てます!(下の写真、右が実際のグンダーマンで、左がシェーアが演じているグンダーマン)

音楽映画としても観れますが、東ドイツ時代の「シュタージ」を知るという意味でも、本作を観ておくと他の東ドイツを舞台にした作品の理解が深まるかもしれません。



2つのポイントを補足します。

1つ目<シュタージ>について

東西に分かれていた頃のドイツの東側を描いた映画では必ずと言っていいくらい出てくる監視をしている隣人の存在。こういう監視や工作を行なっていたのが、シュタージと呼ばれる秘密警察組織で、(他にもKGBやCIAみたいなスパイ組織があったのかどうかわかりませんが)とにかく東ドイツでは市民に対して厳しい監視がおこなれていて、市民の中にもその監視や密告をする立場の人が多くいた、ということです。

シュタージには公式の諜報員と、非公式の協力者がいて、その総数は約200万人いたとこで人口の1割程度がシュタージに関わっていたことになります。公式、非公式に関わらず、仲良くしている友達の中や職場にシュタージ関係者がいて、誰がシュタージなのかわからない中で生活をしていくのは結構なストレスだったと思います。





この上の写真は、1970年代設定の時の画像です。(グンダーマンの髪の長さと眼鏡が違う。コニーは眼鏡をかけていない。)

シュタージの工作員の中には、当時の政権に疑いを持たずに追従していた人々や、選択の余地なく協力者にさせられた人々もいたようで、それらの人たちの中には有名人もいて、東西統一後にシュタージの工作員だったことを告発されたり、告白したりというスキャンダルが続きました。これが1990年代半ばのことで、本作の時代設定の2つのうちの一つがこの時代(1990年半ば)です。



この上の写真は、左が1970年代のグンダーマン、右が1990年代のグンダーマン。どちらの時代も炭鉱で働いているのでわかりづらいですね、、、

2つ目<時代の移り変わり>

時代設定の1つが1990年代半ばですが、もう一つがシュタージが活躍した全盛期の1970年代後半です。この2つの時代が行き来するのですが、(ドイツ統一前後の明らかな違いを理解しているドイツ人であれば自然と理解できるのかもしれませんが)私は2つの時代が描かれていることに最初気づかず、ちょっと混乱しました。時代を見分けるコツは、主人公の髪型(短い方が70年代、後ろで結んでいる方が90年代)やコニーに関しては眼鏡(かけてない方が70年代、眼鏡かけている方が90年代)で区別するとわかりやすいです。