ブラックバード 家族が家族であるうちに
Blackbird
PG12
アメリカ・イギリス合作
ロジャー・ミッシェル
スーザン・サランドン、ケイト・ウィンスレット 、ミア・ワシコウスカ、 リンゼイ・ダンカン
オフィシャルサイト
2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED


ブラックバード 家族が家族であるうちに

タイトルになっている「ブラックバード」は、そのままだと「黒い鳥」ですが、日本語で黒い鳥というと(私だけかもしれませんが)カラスを思い浮かべますが、英語のブラックバードには、黒い羽を持つツグミが一般的なようで、「知恵」や「美」といった例えが含まれます。

スピリチュアルな意味での「黒」は、(欧米では)「魔法」「謎」「オカルト的」な意味あいをもち、そこから転じてブラックバードには、そのような力を持つスピリチュアルな動物のスキルを極め、人生を自分が望む方向へ導いて、自身の力を持って自分の人生を羽ばたくという意味あいがあります。

聖書によると、ブラックバードは「誘惑」や「罪」の象徴とされ、(聖書の中でサタンが黒い鳥を送り人間を誘惑するので)悪魔的なものであるとも言われています。



スーザン・サランドンが演じるリリーの決断は、悪魔からの誘惑や罪でもあり、自分の人生を自分で決めて進めている、とも言えるだけに、彼女の決断をどう解釈するのか人によって違うであろうことを考えるととてもぴったりなタイトルだと思います。(観てない方には、若干のネタバレですが、ストーリーが始まってすぐにわかると思います。そしてラストの方のシーンで出てくる鳥たちで納得、です。)



男女が結婚して子供がいて、という形だけにとらわれず、昨今では「家族」の形もいろいろです。そして、どんな家族だって、それぞれにいろんな隠し事があるでしょうし、家族をとるのか自分をとるのかという葛藤とか、家族が家族であるということとはなど、本人の意思だとしてもそこに家族の思いもはいってくると、さまざまな想いがメインのテーマと複雑に絡み合ったストーリーです。

美しくもあり哀しくもありながら尊い選択とそれを受け止める家族という難しいテーマの主人公が、スーザン・サランドンっていうのがまたぴったり! ケイト・ウインスレットを含め主人公以外の配役も最高です。



私は個人的にはリリーの決断は理解できるのですが、ほぼ同じ状況で家族には何も告げず本人だけが知っている家族全員での集まりを過ごした後、リリーと同じことをした方の娘(ケイト・ウインスレットの立場)を知っているので、かなりなんとも言えない気持ちになりました。重いテーマですが、最終的には「家族とは」という話だと思います。ぜひ劇場にてご鑑賞ください。