ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を
Vom Lokfuhrer, der die Liebe suchte...(英語タイトル The Bra)
なし
ドイツ・アゼルバイジャン合作
ファイト・ヘルマー
ミキ・マノイロヴィッチ、ドニ・ラヴァン、チュルパン・ハマートヴァ、マヤ・モルゲンステルン
オフィシャルサイト
VEIT HELMER FILMPRODUCTION

ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を

情報社会の現代、街の中に、電車の中吊りに、テレビから、ネット上でも、情報が溢れています。バラエティの字幕のように必要以上にあるのではと思うものや、時に過剰すぎる説明は私たちに考えるのをやめさせます。頭を使わず何も考えずに見れて、それはそれでいいのかもしれないし、そういうものが求められているのかもしれませんが、、、。芸術作品にも、こう思ってほしい、こう見てほしいという思いが詰め込まれ過ぎると、鑑賞者の感性を損ねるのかもしれない、と思います。



ちょっと、情報社会に疲れているのかもしれません。だから、『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』に、とても癒されるのかもしれません。コンピューターもテレビも携帯電話も出てこず、会話もないまま、ストーリーは進んでいく。あれ、どうして、あんなことを?と思うシーンもあったけど、どういう風に解釈したっていいよね。答えがわからなくっていいし、人と違う答えだとしても構わない。



電車の色、壁の色、青い空の色、カラフルなブラの色など、とてもかわいい。アゼルバイジャンで撮影されたということだけど、自然の景色が素敵でほんわか優しく、アゼルバイジャンに行ってみたくなります。



どういう着地点なんだろうと思っていたけど、うん、悪くない。セリフがないからこそ、伝わる暖かい物語、たまには、こういう映画もいい。



観終わってから、主演のおじさんが『アンダーグラウンド』の人だということ、さらには見習い機関士のおじさんが『ポンヌフの恋人』のアレックスだって知りました。レオス・カラックスのアレックス三部作、大好きな作品だったっていうことを思い出させてくれました。セリフがないので、旧ユーゴスラビア、フランス、ロシア、ルーマニア、スペイン、ドイツ、ブルガリア、グルジアなどいろいろな国の人が出演しているそうで、グローバルだけどわざとらしくなくて、それもすごくいい1監督がインタビューで本作品のことを「小さな宝箱のような作品だと感じてもらえたら嬉しい」と答えていましたが、この作品が小さな宝箱のような感じ、私にはわかります。

よかったら、劇場でこの「小さな宝箱」のキラキラした宝石を感じてみませんか? 癒しの時間になると思います。